運命の出会い3
運命の出会い、3人目です。たくさんいるでしょう。
拒食で入院しているとき、私はちょうどアロマテラピーの試験勉強をしていました。鼻がすごく敏感で、いい香りに癒されるのが好きで、アロマに興味をもっていました。
病室で勉強していると、主治医の先生が、「ハーブは興味あるかい?」と聴いてきたので、アロマはハーブから抽出しているものですから、「はい」と答えました。
そうしたら、「病院のにわを作るKさんという方がいるから、その人にいろいろ教えてもらいながら、園芸療法というのをやってみないかい?」と言われました。
元々花や土いじいりが好きだったので断る理由がなく、もちろん承諾して、その日から園芸療法を始めました。
(Kさんは本当はSさんなのですが、私の中の登場人物があまりにもSがつく人が多くて、区別をつけるためにKにしました。)
ある日、病院内のデイケアでkさんが主催のハーブ教室があり、私も担当の看護師さんとともに参加しました。
ハーブの入ったパンケーキをいただき、フレッシュのハーブティーもいただきました。
そのハーブティーを飲んだ瞬間、ぱああああっと頭の中が開ける感覚。
「なっっっっにこれえええええ!!超おいしい!!!」
と頭の中で叫びました。すこし声に出ていたかも?
それが私のハーブとkさんとの出会いでした。
ハーブはおいしいだけでなく、香りで癒されて、飲んだりつけたりすると薬効がある。まぁ、薬草ですからね。そんな素晴らしい物質がこの世にあるなんて、と感動しっぱなしでした。
園芸療法はその後も続き、一日退屈でしかたなかった日が輝きをもった日々となりました。
Kさんは、いつもニコニコと私という存在を受け入れてくれ、雑草を抜いたり、花を植えたり、土を混ぜたり、水やりをしたり、本当に楽しかった。病院の片隅に小さなハーブガーデンがあるのですが、そこでハーブを収穫するお手伝いをして、香りに癒されて、太陽を浴び、土を触り、「生きている」感覚がすごくしました。
いろんな嫌なこと、人間関係、親子関係、そういう複雑なものが一斉に風になって飛んでいくような、一時ですが忘れられる時間でした。
Kさんは園芸やハーブのこと以外にも、とてもたくさんの経験を積んでおられ、私の人生の師匠のようなひとで、園芸活動中もいろんな話をしました。師匠であり、良い友達のようなかんじです。
その入院は3ヶ月だったのですが、退院した後も、ひょっこり遊びに行ったりお手伝いをしに行ったり、今も息子を連れて会いに行っています。コロナが始まってからは行けていませんが、げんきかなぁ。
彼女に勧められて、ハーブとアロマの資格をいくつかとって、学習指導員という、公的機関で指導ができる資格もとり、のちに、私はkさんがやっていたように、デイケアでハーブ教室を任せてもらえるようになりました。
ハーブ教室のあとにハーブティータイムがあるのですが、そのときにメンバーさん一人一人にお茶をいれ、そうするとみんなとってもいい顔で「おいしい〜」「いい香り〜」と言うのです。
私はその瞬間、すごくすごく幸せをかんじました。
これから、私はこういうことをしたいなぁ
と心から思った瞬間です。
まだまだ、実になりませんが、いつかそういうことをする人になりたいなぁと思っています。
痛みがわかるからこそ、私にできることがある。すこしでも、ほっとするものを与えられたらいいなぁって。